IC・KS『ほんとの話』

社会的ウェルネスを目指すインテリアコーディネーター達の取り組み 2019/03/28 社会的ウェルネスを目指すインテリアコーディネーター達の取り組み 2019/03/28

デザイン性や見た目の美しさに人々の注目が向きがちなインテリアコーディネーター(IC)。
しかしICとして求められるのは、専門知識と論理的根拠にもとづき、省エネや安全性、
経済性なども考慮したコーディネート提案です。日々のコーディネート経験を積み重ねる中で、
インテリアコーディネートを通じて見えた社会の課題(防災や高齢化社会、環境問題など)に、
ICとして取り組んでいる資格者がいます。今回は、社会的ウェルネスに貢献すべく奮闘する
IC達の活動を紹介します。(ライター談)

超高齢社会における真に豊かな住空間を目指す 100歳住宅 超高齢社会における真に豊かな住空間を目指す 100歳住宅

インテリアコーディネーター | 松本 佳津さん インテリアコーディネーター | 松本 佳津さん

インテリアコーディネーター松本佳津さんが提唱する「100歳住宅」。「人生100年時代」といわれるこれからの超高齢社会に向けて、建物が主役ではなく「人が主役」となる住まいのカタチを提案しています。取り組みに向けた思いや、ICとしてのやりがいなどについて、マツドットコムアイエヌジーの松本さんにお話を伺いました。

「100歳住宅」というテーマに取り組まれた
きっかけを教えてください。

日本は世界最速で超高齢社会へと進んでおり、今後、寿命100歳が当たり前という時代がやってきます。それは私たちがかつて経験したことのない社会であり、すでに100歳まで生きることを前提に住まいを再考しなければいけない時代に入っています。欲しいのは頑丈な100年持つ家というより、100歳まで幸せでいられる家。そのために住まいをインテリアから考えることが、長寿高齢社会のキーワードになると考えました。

この「100歳住宅」というテーマは私自身のライフワークであると同時に、他のICの皆様にとっても提案の切り口のひとつとして非常に有効だと感じています。現在、全国の団体からのご依頼で講演活動も行っていますが、大きな気づきを感じてくださる方も多く、勉強会も各地で立ち上がっています。超高齢社会における住まいの問題は、これからますます顕在化するはずです。なかなか表に出ないIC各自の取り組みや知見、経験の共有を進めるべく取り組んでいます。

「100歳住宅」の取り組みに込める「思い」を
お聞かせください。

これまで10年以上にわたり、「超高齢社会のインテリアのあり方」に取り組んできました。今年(2020年)からは国立名古屋工業大学大学院博士課程で研究を深め、エビデンスを明確にし、実戦的なインテリアのカタチを具体的に体系立てていくつもりです。インテリアの重要性や影響力をきちんと世に知らしめ、私たちICの存在意義を明確に打ち出したいと考えています。

私はインテリアを仕事とする中で、とても楽しく貴重な経験をたくさんさせていただきました。人の人生に寄り添い、暮らしを劇的に楽しく豊かなものに変える、こんな素晴らしい仕事はなかなかありません。インテリアの職域、意義をさらに高め、次世代につなぐことが私の務めだと思っています。

松本さんがICの資格を取得された動機を教えてください。

家業の建設業を継ぎ、「何か自分にもできる事がないか」と探していたときにICの資格に出会いました。振り返れば高校時代、短期留学したニュージーランドで「将来何になりたいの?」と聞かれ、とっさに答えたのが「インテリアデザイナー」。大学では空間デザインを専攻し、卒業後最初に就いた仕事は小売業の販売促進でした。よく「口に出すと願いが叶う」と言いますが、インテリアを切り口に、これまでの経験が全て現在につながっていると感じます。

IC登録後はあえて他の資格には手を出さず、インテリア1本で何ができるかを追求しました。大切にしてきたのはインプットよりもアウトプット。視野を広く、世界を俯瞰的に見ることを心がけ、その中で自身の立ち位置やインテリアにできることを考えています。ICとして長く活躍するためには、ひとつの仕事で完結するのではなく、マルチな発想で次の展開につなげることが重要です。年齢に関わらず自分らしい人生を送ることができるICは、私にとって天職だと思っています。

ICとして働く日々の面白さや、やりがいを教えてください。

現在は大学で教授としてインテリアの教育に携わるほか、プラニング施工、企業とのコンサルティング業務など、インテリアを切り口とした“私ならでは”の展開を意識して仕事に取り組んでいます。さまざまな方からお声を掛けていただけるのは何よりありがたく、そのつながりを大切にしたいと強く思います。

さらに、今年からは大学院生という立場も加わりました。勉強できることにとてもワクワクしていますし、学生の目線になることで新たな発見もあるはずだと期待しています。

人生100年時代には、学び続ける姿勢は必須です。とくにインテリアは、これから俄然面白くなると思います。現状に満足することなく、好奇心を持って新たな切り口を探りながら、さらなる進化・深化を目指します。

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