COORDINATOR'S STORY

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vol.9 戸倉容子さん

 インテリアコーディネーターのエピソードをお届けする「コーディネーター奮闘記」。
 第9回は、イタリアにインテリアを学び、素敵な暮らし方をコーディネートする戸倉容子さんにお話をうかがいました。


部屋だけでなく、人生も素敵にするインテリアコーディネート。その先にあるお客様の豊かな人生をつくるのが私の仕事です。
 
無機質な部屋と生活を変えたインテリア。コーディネートの持つ力を実感した出会いでした。


看護学生の時に寮で生活していました。8畳ほどの二人部屋でしたが初めてそこに入った時のショックは今でも忘れられません。真っ白い壁、天井、白いカーテン。無機質な空間に病院のパイプベッドが2つ。まるで病室のような空間だったからです。
当然そこに帰るのが嫌になり、私は外で過ごす時間が多くなりました。結果、生活も荒れ気持まで荒んでしまいました。

ところが、ある日偶然開いた雑誌で“自分でつくるインテリア特集”と出会いました。味気ない空間が素敵に変わるという特集でした。その変わりように惹き付けられて夢中で読みました。
その後、“自分もやってみよう”と、本を見ながらカーテン、ベッドカバーやクッション作りに挑戦。ベッドヘッドのパイプも花柄の布でカバーリングをつくり部屋全体をコーディネート。 スポットライトを買ってきて間接照明にしたり、ポプリを置いたり・・・。
不思議なもので、それからは自然に部屋に居る時間が長くなり友人も集まり、毎日が楽しくなりました。
私の部屋を見ては、“自分の部屋もそうして欲しい”という寮生が殺到。私はいつの間にか寮内のインテリアコーディネーターになっていたのです。この時、部屋の環境は人の気持ちをつくる、人生までもつくるのだとわかりました。インテリアコーディネートというものを初めて意識したエピソードです。

写真:イタリアでの金物検品

写真:イタリアでの打ち合わせ風景
イタリアでの打ち合わせ風景
イタリアで学んだ“便利さ”と“豊かさ”の違い。日本の文化に取り入れ、本当の豊かさを伝えたい。


1年間のイタリア留学を体験して、日本の習慣と違うことにたくさん出会いました。
例えば、コンビニが無く、日曜はどこもお店が閉まるので食材の買い忘れをしたら週末に食べるものが無いとか、コピーをとるにもバスに乗っていかなければならないとか、深夜に暖房が切れてしまうため震える手で図面を描くとか。その時はなんて不便な国なのだろうと嘆きましたが、その生活にも慣れて帰国してみると、実は私たち日本人が便利すぎる生活をしすぎているのに気がつきました。24時間いつでも食材が手に入るコンビニ、エアコンの中の快適な生活・・・。しかし、その便利さが逆に本来の人間らしさを奪うものになっていることにも気づかされました。

今、両国の文化を踏まえイタリアで学んだ豊かさを皆さんに伝えるべく、ハードだけでなくソフト面からもお客様の輝く人生をつくる仕事をしています。

写真:出来上がった日本の作品(マンションの中庭)
出来上がった日本の作品(マンションの中庭)

出来あがった住まいと共に素敵に輝くお客様を見るとどんな労力も忘れてしまいます。

2002年に金物や大理石などイタリアの職人の技をふんだんに使った住宅をつくりました。設計、インテリアプラン、工事監理、またイタリア製品の発注や検品に現地まで赴いたりと毎日がその住宅づくりに明け暮れる日々でした。嬉しいことは、完成して5年経つ今でも、オーナー様から“戸倉さんと出会ったおかげで、この家を建てることができて良かった”と言っていただけることです。
お客様との関係は家が出来て終わりではなく、家ができてからが始まりだと思っています。
ご家族が、ますます素敵に輝いている様子を拝見する瞬間は、どんな労力も忘れてしまいます。
写真:イタリアでの検品
写真:ドムス作品 イタリア職人がつくった金物が日本で息づいています。
イタリア職人がつくった金物が日本で息づいています。

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