COORDINATOR'S STORY

vol.15 北谷 明日香さん

インテリアコーディネーターのエピソードをお届けする「コーディネーター奮闘記」。
第15回は、オーダーメイド家具のデザイン設計から空間全体のコーディネートまで幅広く手掛ける北谷明日香さんにお話をうかがいました。
空間全体を考えたオーダーメイドの家具デザインを通じて、自分にしかできない仕事を追求していきたい。
自分の仕事が形として残るコーディネーターの仕事に魅力を感じました。

大学卒業後、政府系金融機関に勤め、中小企業に対する融資相談や審査業務を行っておりました。決算書などの書類だけではなく、経営者の方の話や会社訪問などからその企業の実態を総合的に判断するという仕事にやりがいを感じる一方、何か物足りなさを感じる自分もいました。お客様のニーズの本質を見抜くなど、今の仕事にもつながる貴重な経験をしましたが、結婚を機に退職。結婚相手の実家が家具メーカーであったことがきっかけで、インテリアの世界に関心を持ち勉強を始めました。

インテリアは学べば学ぶほど奥が深く、どんどんのめり込んでいきました。また、インテリアコーディネーターの仕事は、「自分の仕事が形として残る」ということにとても魅力を感じ、金融の仕事をしていたときに何となく感じていた物足りなさの理由が分かった気がしました。この業界に入ったきっかけは、偶然のようなものですが、とても素敵な仕事にめぐり会えたことを幸せに思っています。
こだわり抜いたオーダーメイド家具デザインを核として、より自由な空間作り。

幅広いインテリアコーディネーターの仕事のなかで、私はオーダーメイド家具デザインを核としています。既製の家具だけでは実現しない自由な空間作りが私の主な仕事です。お客様の話をよく聞きお部屋を見せていただいた上で、空間全体に合わせてサイズや構造を決め、素材や色を選びます。イメージ通りのデザインにするために、1mm単位の直線や曲線といったディテールまでこだわります。トータルでインテリアコーディネートする仕事では、その空間に合わせた家具を作るだけでなく他社の家具をセレクトする場合もあり、私はオーダーメイドの家具デザインは、あくまでもインテリアコーディネートの枠の中にあると思っています。
家具のデザインにあたっては、お客様の要望に合った機能だけではなく「使い心地」と「使い勝手」のよい家具を設計するのは当然ですが、さらにそれを美しく仕上げなければプロとは言えません。作り手の独りよがりに陥ることのないように、イメージやコンセプトをお客様にきちんと伝えながら仕事を進めることも大切。そのため、完成時の見え方を実感していただけるようにCADでいくつかの方向から見た絵を作成してお見せするという提案の仕方にも力を入れています。

「家具の宝石」と称されるキットファニチュアとの出会い、そして尊敬すべき方々との出会い。

結婚相手の実家が(株)北谷という徳島の老舗家具メーカーで、「家具の宝石」と称されるキットファニチュアのデザインに携わることができる恵まれた境遇でしたが、メーカーに所属するよりも一層お客様に近い存在になれることを目指して、東京で主人と一緒に家具の販売会社を立ち上げました。当初は、たくさんの苦労もしましたが、今振り返ってみればそのときに精一杯出来ることをいつも楽しみながらやってきたという感じです。尊敬すべきお客様たちとの出会い、そして木地の上に染色した子ヤギ革を貼り鏡面仕上げにする製法を開発しデザインも手掛けてきた義父や現代の名工の称号をもつ熟練の職人達という力強い味方の存在があったからこそで、感謝の気持ちでいっぱいです。

理屈ではなく、単純に「きれい」「好き」と感じてもらえることを大切に。

私達のお客様となるのは、インテリアに対する関心が高く、こだわりをもった方々ばかりです。良いものをたくさんご存知の方たちなので、常に身の引き締まる思いですが、出来上がった家具や空間を見て、「きれいね」とか「素敵!」と言っていただけることが何よりの喜びです。理屈ではなく、きれいとか好きとか単純に感じてもらえることを大切に思っています。そして、同じお客様から繰り返して何度もお仕事の話をいただくことがとても多く、インテリアのことは何でも気軽に相談してくださるお客様がいることも、本当に嬉しいことです。